車を購入した後で、お引っ越しをされた方、車検証の住所変更手続きはお済みですか?
これ、基本的に誰も指摘してくれないから、意外と忘れがち。
自動車税納税通知書が中々届かなくて、理由を調べてみたら始めて気づく、なんてことも珍しくないみたいですね。
そして、気づいたからには手続きを進めたいところですが、この手続き、ディーラーや行政書士の方に委託すると、代行手数料が結構かかっちゃうんですよね。
手数料って言っても数百円じゃないの?
なら、なんか手続きとか面倒くさそうだし、やってもらえるなら頼んだ方が楽じゃない?
数百円なら私もそうする。
でも実際には、10,000円以上の手数料がかかってしまう事が多いよ!
場合によっては、手数料が3~40,000円かかる場合もあるんだ。
どこからどこに引越しするかにもよりますが、管轄する陸運局が異なるエリアへの引越しの場合には、車検証の住所変更に加えて、ナンバープレートの変更も必要になります。
ナンバープレートの変更要否も含めて、代行をお願いした場合の費用をざっくりご紹介しますと、おおよその相場としての参考情報にはなってしまいますが、以下の通りとなっております。
※頼む先によって費用の前後は発生します
※用語については、後々の項目で説明します
代行依頼する作業 | ナンバー変更の無い場合 | ナンバー変更のある場合 |
---|---|---|
車検証の住所変更のみ | 10,000円~25,000円 | 20,000円~35,000円 |
自動車保管場所証明書の取得 +車検証の住所変更 | 20,000円~35,000円 | 30,000円~45,000円 |
手数料で数万円単位の出費は痛いですよね。
でもこの手続き、多少の手間はかかるものの、自分でやってしまえば、4~5,000円の出費に抑えられるんです。なんと最大9割引。浮いたお金で家族で高級ディナーも行けちゃう。
手続きにかかる時間と手間を削減するのに、誰かが代わりにやってくれるなら数万円払う価値は充分ある!
という方ならば、ディーラーや行政書士の方に代わりにやってもらうのは全然アリです。
時間をお金で買うってヤツですね。
一方でその手続きを、「自分でやったほうが得かも」と思えるなら、その時点で数万円得できる可能性があるわけです。払わなくていい手数料は1円たりとも払わない、という気概で家計を守りましょう。
いずれにせよ、本当に数万円を支払う価値があるのか、それを判断するためには、まず自分が「どんな手続きが必要で、どれくらいの手間なのか」を知っておく必要があると思いませんか?
本日はそのために、車検証の住所変更手続きを自分で行う方法を、実際の作業の流れに沿った形でご紹介していこうと思います。
更に、私が実際にその手続きを自分で試してみた中で、ココは手続き上でわかりにくい、躓きやすいポイントかも?と感じた点をピックアップして、合わせてご紹介しますね!
車検証の住所変更をしないとどうなるの?
そもそも、車検証の住所変更をしないと、どんなデメリットがあるのでしょうか。
具体的には、以下5つの問題が発生する可能性があります。
自動車税納税通知書が届かない
自動車税納税通知書は、車検証に登録された住所に送付されることになっています。
車検証の登録住所が変更されていないと、納税通知書が届かず、気づかないうちに多額の延滞金が発生していた!なんてことにもなりかねません。
なお、本来であれば、多くの場合5月上旬に納税通知書が送付され、納期限は5月末日となっている事が多いです。
このタイミングで納税者の手元に届かなかった納税通知書は、一度都道府県税事務所に一旦返送され、その後に各自治体の住民登録情報等と改めて照合した上で、一般的に8月上旬頃に改めて送付される事になります。
これを8月中までに納付すれば、実質延滞金はかからない(※)ことになりますが、この再送分が新住所に確実に届く保証はありませんし、5月~8月の間に車検時期が来てしまった場合、自動車税の納税証明ができないので、それはそれで非常に手続きが面倒なことになります。
5月中旬を過ぎても自動車税納税通知書が手元に届かない場合は、まずは対象車両の車検証の登録住所が現住所になっているかを確認の上、お住まいの地方の都道府県税事務所に問い合わせした方が安心です。
万が一の事故の際、保険がおりないことも
どんなに気をつけていても、いつでも発生リスクがあるのが交通事故。
そんな時、車検証の住所と実際の住所が異なるというだけで、自賠責保険がおりない、というリスクも充分想定されます。
折角支払っている自賠責保険の保険料が無意味になるかも。
また、事故の際の証明が遅れて、任意保険の手続きもできず、保険金を受け取れるのがかなり遅くなってしまう、というリスクも考えられます。
車を売却、あるいは廃車にする際、手続きが面倒に
車を売却や廃車によって手放す手続きの際、車検証に記載された住所と現住所が異なっていると、それだけで手続きが面倒になります。
車を手放す際には、車検証に記載された住所から、現住所に至るまでの住所変遷(どこをどう引越ししてきたか)を、1つ残らず示す必要が発生するからです。
引越しが1回程度であれば、1つ前の住所までは住民票のみで遡れるのでまだいいですが、複数回の引越しを経ていると、手続きもかなり大変です。
更に、結婚などを経て「本籍地」まで変わってしまっていると……その手間は想像したくもないですね。
こういった意味でも、車検証の住所は最新に保っておく事がオススメです。
リコールの案内が届かない
車の販売後に、何らかの設計・製造上の不具合などにより公道を走る為の保安基準を満たしていないと判断された場合には、事故やトラブルを未然に防ぐため、各自動車メーカーが対象の車を無料で回収・修理します。これをリコールといいます。
リコールの対象車種に当たる車を所有しているオーナーさんには、「この車、リコールになったから回収して修理しますね」という案内が来ることになっているのですが、この案内の送付先が、「車検証に登録された住所」になっています。
つまり、車検証の登録住所を変更しておかないと、リコールのお知らせを受け取れない事になります。
リコールのお知らせを受け取れないと、「安全上で何らかの問題がある車を、そうと知らずに乗り続けることになる」と考えると、非常に恐ろしいですね……
法律違反となり、最悪は前科のつく罰金刑にも
いろいろデメリットを列挙してきましたが、そもそも引越しをしたのに車検証の登録住所を変更しないままにする事は、”道路運送車両法”という法律に違反することになります。
車検証の登録住所変更について、道路運送車両法では以下のように定められています。
自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。
道路運送車両法 第12条1項
第十二条第一項、(中略)の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
道路運送車両法 第109条2号
つまるところ、ごく簡単にかいつまむと、
引越ししてから15日以内に、車検証の登録住所を変更手続きしなかったら、法律違反として50万円以下の罰金ね!
ということ。
50万円というのも恐ろしい金額ですが、加えてこれは過料ではなく罰金なので、普通に前科がつきます。犯罪歴が経歴に刻まれてしまうわけですね。
そうはいうけどさ。これが原因で実際に罰金くらった、って事例を聞いたことがないよ?
恥ずかしい報告をわざわざしてくれてないだけかもしれないでしょ?
それにこれまで実例がなかったとしても、法律は法律。
無視して捕まったときに、「他の人は捕まってないのにどうして!?」なんて言っても警察の人はきいてくれないよ。
他に何も悪いことをしていなくても、たまたま何かの検問で引っかかって、車検証と運転免許証の確認をされないとも限らない。
余計なリスクは負わない方がいいよね。
う……確かにそうかも。
でもさ、たまたま手続きを忘れてしまっていて、気づいたときには引越しから16日間以上が過ぎてしまっていた!って場合はどうしたらいいの?
そんな事例もいくつか知っているけど、どの事例でもそこからきちんと手続きをしに行って、そこで違反を指摘されて罰金をとられた、なんて話は今のところ聞いていないよ。
もちろん公的に大丈夫とされているわけじゃないから断言はできないけど、ミスに気づいて自分で是正しようとしている人をあえて糾弾することは無いと思うな。
そんなリスクよりも、ここで上げた「住所変更手続きをしないリスク」の方がはるかに大きいので、やっぱり気づいたときにすぐ手続きする、というのが大事だと思うよ。
車検証の住所変更にはどんな手続きが必要?
さて、それでは本題に入ります。
車検証の住所変更をするには、具体的には以下の流れで手続きを進めていくことになります。
今回はまず、
1.自動車保管場所証明書を取得する(管轄の警察署で申請・受取)
の範囲について、順を追って説明していきます。
2.の範囲は改めて後編の記事で解説をさせていただきますね。
ちなみにですが軽自動車の場合は、車検証の住所変更自体には、今回解説する1.の範囲の作業は一旦不要になります。但し、車検証の住所変更手続き完了後に、別途で警察署へ自動車保管場所証明書の提出が必要な地域が一部ありますので、その地域に該当される方は、今回の記事も是非参考になさって下さい!
Q:(前略)軽自動車の名義変更や住所変更などの際に、車庫証明は必要ですか。
A:軽自動車では自動車保管場所証明書(車庫証明書)は不要であり、保管場所届出制度となっております。当協会での手続きの際には、自動車保管場所証明書を提出いただく必要はありません。ただし、ご使用の地域(使用の本拠の位置)によっては、当協会の手続き完了後に警察署への届出が必要な場合があります。詳しくは、最寄りの警察署へお問い合わせください。
軽自動車検査協会のHPより
参考情報として、栃木県において軽自動車でも自動車保管場所証明書を警察署へ届出する必要のある地域は、以下の地域となっています。
自動車保管場所証明書を取得する(管轄の警察署で申請・受取)
自動車保管場所証明書は、車庫証明書とも呼ばれます。
車の保管場所が存在することを証明する書類で、取得には、その保管場所を管轄している警察署に申請が必要です。
車検証の住所変更申請をするのに、この自動車保管場所証明書が必要となりますので、こちらを事前に警察署に申請することになります。
※自治体によっては自動車保管場所証明書が不要な場合もあるようなので、そのあたりは事前にお住まいの自治体の運用方法をご確認下さい。自動車保管場所証明書が不要な場合は、この項目の説明は飛ばして構いません。
申請書類を準備する
自動車保管場所証明書の申請には、以下の書類が必要です。駐車スペースの車庫(土地)を自己名義で所有しているか、他人名義のものを借用しているかによって、必要な書類が一部異なりますので注意下さい。
上記1~4の書類は、警察署に出向いて依頼すれば申請書のフォーマットをもらうことができます。
但し、2の「保管場所の所在図・配置図」については、グーグルマップなどを印刷して貼り付けた方が早いです。
いちいち一度警察署で申請書を受け取ってから、一旦帰宅して、地図を印刷して貼り付けて……は面倒ですので、各都道府県警察のホームページで申請書の電子データを公開している場合には、それを自宅で印刷して使う手もあります。
参考までに、栃木県の申請書ダウンロードページにリンクを貼っておきますが、実際はお住まいの都道府県警察のホームページで必要なデータが公開されているかをご確認下さい。
なお、表1の自動車保管場所証明申請書(保管場所標章交付申請書)は中身としては自動車保管場所証明申請書が2枚1組、保管場所標章交付申請書が2枚1組の、計4枚で1セットになっている事が多いです。
記入する内容も殆ど被っているので、1枚目に記入した内容が、カーボン紙で転写されるようになっている事が多いようですね。この為、一般的には自動車保管場所証明申請書の記入をすれば、
同事に自動的に保管場所標章交付申請書の記入も完了する形なので、2種類の書類をまとめて1件としてカウントしています。
(自宅で印刷した場合は、それぞれ個別に記載が必要)
以下、栃木県の申請書類を参考に解説させて頂きます。記載する内容は大まかには共通かとは思いますが、細かいフォーマットなどは異なる可能性がありますので、ご留意頂ければと思います。
自動車保管場所証明申請書(保管場所標章交付申請書)
全員必要な書類です
①:車名……車のメーカー名を記載(例:トヨタ、ホンダ 等)。
②:型式/車台番号/自動車の大きさ……住所変更前の車検証に同名の項目があるので転記。
③:上段は使用者の住所、下段は車庫・駐車場の住所を記載。
※自宅併設の駐車スペースに停めている場合は、同じ住所の記載でOK
④:提出先の警察署名と、車の使用者の住所・氏名・電話番号を記載。
※日付は記入日でも、提出日でもOK
⑤:住所変更ならば、”変更”を丸で囲む。
⑥:保管場所の所有者を○で囲む。
保管場所の所有者が自分一人だけならば自己、
保管場所の所有者が他人(親族等も含む)ならば他人、
保管場所の所有者が複数人に跨がる場合には共有、を丸で囲む。
※賃貸住宅の駐車場なら他人、親が所有している土地でも他人、
夫婦ペアローンで購入した土地なら共有、になります。
⑦:申請内容に関して問い合わせの必要が発生した場合の、
連絡先となる人の氏名、電話番号を記載。
保管場所標章交付申請書
全員必要な書類です
自動車保管場所証明申請書と、記載する項目、内容はほぼ同様なので、個別の説明は割愛します。
保管場所の所在図・配置図
全員必要な書類です
所在図は、自宅(使用の本拠)と自動車保管場所の位置関係、及び病院や学校など目印になりやすい建物等からの位置関係が分かるように記載します。
自動車保管場所が自宅敷地内である場合には、参考図の通り「使用の本拠の位置 兼 保管場所」と注記します。
自宅(使用の本拠)と保管場所が離れている場合には、それぞれの位置を記載した上で、自宅(使用の本拠)と保管場所を直線で結んだ距離を記入します。(法律上、使用の本拠と保管場所は2km以内に存在する必要があると規定されている為、それを満たしている事を確認する目的)
距離の測定はGoogleマップ上で可能ですので、その数値を転記する形で問題ありません。
配置図は、駐車スペースのサイズや、周囲の建物との位置関係、及び隣接する道路の幅を記載します。
(こちらも、駐車スペースに隣接する道路幅に規定が有るため)
賃貸物件の駐車場であれば、不動産業者から駐車場の配置図等をもらい、契約している駐車場No.にマーキングする、等でも代用可です。
保管場所使用権原疎明書面(自認書)
保管場所の所有者が自身単独、あるいは自身を含む場合に必要な書類です
①:普通車なら証明申請、軽自動車なら届出を○で囲む。
②:土地を○で囲む。車庫等が築造されている場合は、建物も○で囲む。
保管場所使用承諾証明書
保管場所の所有者が他人、あるいは他人を含む場合に必要な書類です
①:自動車保管場所の住所を記載。
②:自動車の使用者の住所・氏名・電話番号を記載。
③:自動車保管場所としての使用承諾期間を記載。
※賃貸契約があれば、その契約期間を記載。
※親族の土地でも、”無期限”での記載が認められていない為、
申請日の前日以前の日付を始期として、おおよそ1~2年の期間になるように記載。
(あまり期間が短いと申請が通らない可能性が有るため、1年程度は確保しておく)
④:自動車保管場所所有者の住所・氏名・電話番号を記載。
日付は記入日でOK。
こちらの書類は、その土地の権利者本人に自書してもらいます。
賃貸契約の場合は、対象の不動産業者に記入してもらいます。
駐車場の賃貸契約書類で代用できる場合もあります。
申請書類を管轄の警察署へ提出する
必要な申請書類が全てそろったら、それらを持って管轄の警察署へ赴き、申請書類一式を提出します。
軽微な記入漏れ等があっても、ここで指摘はしてもらえると思いますので、あまり気負わずに書類作成に臨んで大丈夫です。
なお、この申請の際に多少手数料がかかります。
栃木県の場合、
自動車保管場所証明申請書:2,100円
保管場所標章交付申請書:520円
合計:2,620円
となっており、警察署内で相応額の栃木県収入証紙を購入し、先ほどの申請書類に貼付して提出します。
自治体によっては、現金で払うところもあるようです。
ここまでで書類の不備等がなければ、納入通知書兼領収書がもらえます。
これが後日自動車保管場所証明書を受け取る為の引換券のようなものですので、紛失などしないよう大切に保管します。
この納入通知書兼領収書を受け取る際に、「現地確認の結果が問題なければ、○○日以降であれば、発行された証明書類が受け取り可能となりますので、その日付以降で改めてお越し下さい」という案内があるので、それに従います。
後日改めて管轄の警察署に赴き、証明書を受け取る
特に何も問題がなければ、指定された期日以降に改めて警察署に赴き、証明書類を受け取ります。
申請の際にもらった納入通知書兼領収書を忘れずに持参しましょう。
具体的には以下のものが交付されます。
1つめの自動車保管場所証明書(車庫証明書)は、別途車検証の住所変更手続きの為に陸運局へ提出する書類です。
2つめの保管場所標章番号通知書は、車検証などと一緒に保管をしておきます。
3つめの保管場所標章は、車のリアガラスに貼り付けるステッカーです。
今回のまとめ
今回は、車検証の住所変更申請に必要となる、自動車保管場所証明書の発行手続きまでを自分で行う方法について解説してきました。
以下は最初の方で載せた表ですが、
代行依頼する作業 | ナンバー変更の無い場合 | ナンバー変更のある場合 |
---|---|---|
車検証の住所変更のみ | 10,000円~25,000円 | 20,000円~35,000円 |
自動車保管場所証明書の取得 +車検証の住所変更 | 20,000円~35,000円 | 30,000円~45,000円 |
本日解説した赤字の部分を自分でやっただけでも、代行依頼費用ベースで10,000円前後の差異があります。ここまでの作業で、自分でやってもどうしてもかかってしまう3~4,000円前後を除いても、約6,000円前後お得になっています。
とはいえ、ここまで散々費用低減効果を強調してきたので、誤解の無いように改めて申し添えますが、今回の記事には、代行費用が勿体ないので基本的には自分でやろう!という意図はあまりないです。
どちらかというと、その費用を手数料として支払うだけの価値があるかないか、それを自分でしっかり判断するために、どれぐらいの手間がかかる作業なのかを知っておこうという意図に近いと思います。
さて、後編の記事ではいよいよ、車検証の住所変更手続きについて解説させて頂きます。
こちらも私が実際に手続きを行った実体験を元に、躓きやすい要注意ポイントの紹介も交えながら、なるべくわかりやすく解説させて頂きましたので、是非併せてご覧下さい!
したっけ、またねー。
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